主張2009
2009年の主張
主張 12月27日
12月24日 『きょうされん』が緊急声明を出しましたので紹介します。
2009年12月24日
2010(平成22)年度予算編成で示された応益負担軽減策についての緊急声明
きょうされん常任理事会
12 月23 日、長妻厚生労働大臣と藤井財務大臣の2010 年度当初予算をめぐる折衝において、低所得の障害のある人が福祉サービス利用を無料化するための予算として、約40 万人の対象として110 億円を計上することで合意したと伝えられた。きょうされんは、以下の点でこのことに対して強く抗議するとともに、再度の検討を求めるものである。
第一に、新政権の軸となっている民主党は先の総選挙においてマニフェストに「障害者福祉制度を見直す」ため「400 億円程度」として選挙公約に掲げていた。厚労省は、福祉サービスと自立支援医療、補そう具の低所得者の利用料を無料にするためには300 億円が必要であるとし、きょうされんは応益負担廃止の第一歩として、何としても最低300 億円の予算確保が必要だと訴えてきた。これは言いかえれば、300 億円を来年度予算で確保できるか否かが、応益負担廃止を表明している鳩山内閣の本気度を測るバロメーターでもあったわけだ。それが結果的に110 億円に「値切られた」となると、応益負担廃止そのものが怪しくなったと言っても過言ではない。いくら良い政策を口にしても、予算編成段階でここまでトーンダウンするということは、鳩山内閣の中で障害保健福祉施策の優先順位が極端に低いことの現れとして見ざるを得ない。
第二に、今回は自立支援医療が無料化の対象から外されようとしているわけだが、医療を必要とする障害の重い人ほど、今回の軽減策を受けることができないということになるのである。
そもそも、福祉サービスも自立支援医療も補そう具もすべて、障害のある人が地域で暮らすために不可欠な支援なのだから、これら3 つのすべてを負担軽減の対象とすることは当面講じるべき最低限の措置である。また、利用料の月額上限額についても3 つの合算額をもって設定する仕組みは、今回見送られることになりそうであるが、これは、先の旧与党による「自立支援法改正案」より後退するもので、由々しき事態である。
第三に、今回の措置では軽減策が届かない人が相当数、残ることになる。例えば、きょうされん東京支部が2009 年11 月に行った調査では住民税課税世帯は約24%もいるのだが、この人たちは今回の軽減策の対象外となってしまうのだ。また、収入認定の際に配偶者及び未成年者の親の収入が合算されてしまうという不備も残されたままなので、この人たちの負担も軽減されない。今回の措置を「自立支援法廃止に向けた第一歩」などとする向きもあるが、今日明日の生活がかかった上記のような問題を放置したままであり全く評価に値しない。
折しも、障がい者制度改革本部が設置され、新たな法制度についての本格的な検討が始まろうとしている今だからこそ、その出発点である2010 年度当初予算の検討は鳩山内閣の意気込みを示す絶好の機会でもあるはずだ。また、障害者自立支援法訴訟の70 名の原告も300 億円の予算確保を心から願い、その動向について固唾を呑んで見守っていた。こうした中で、負担軽減に必要な300 億円を110 億円にまで減額することは、これまで政府と訴訟団などが重ねてきた検討の到達を突き崩すことになる。鳩山内閣は、原告を始め全国の障害のある人と関係者に与えた希望を落胆に転化させてはならない。
私たちは、今般の大臣折衝の結果について強く抗議すると共に、閣議決定に至っていない現時点にあって「300 億円復活」に一縷の望みを持つものであり、わけても民主党を中心とする政権政党の格段の奮起を求めたい。同時に、マスコミを中心とする広く国民の理解と支援を要請する。
主張 12月17日
12月1日 『きょうされん』意見を提出しましたので紹介します。
「新たな総合的な制度の検討」についての意見
http://www.kyosaren.or.jp/opinion/2009/091201hearing.pdf
主張 11月7日
第32回きょうされん総会での『きょうされん』の見解を紹介します。
- 自立支援法の廃止と新法制定についての基本姿勢と主要論点
~ 新政権の「政策合意」をうけて~
主張 10月30日
自立支援法はいらない!新法の確かな実現を!。 1万の声が首都に轟く!
10月30日、東京日比谷公園周辺で『さようなら!障害者自立支援法。つくろう私たちの新法を!10・30全国フォーラム』が開催されました。
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集会には長妻厚生労働大臣も来賓として参加し全国から集まった1万人を前に『(障害者の)尊厳を傷つける自立支援法を廃止する決断をしている』と挨拶。
政党シンポジュウムには団体代表の4名に加え、民主、共産、社民の3党から①自立支援法の評価、②新しい法律の内容、③新しい法律をどのように作るか。の3点についての発言がありました。(自民、公明は欠席)
政権が交代し、大臣が集会に参加し歴史的集会が成功しました。
自立支援法廃止後の具体的内容は今からです。
今回の成功を大きな力にし、「応益負担廃止。」「日割制度廃止。」など、私たちの願いにこたえる新法をめざしてがんばりましょう。
主張 10月23日
新政権誕生 自立支援法廃止で未来は明るいか?
自立支援法廃止の大臣発言に、なんとなく心が浮かれた気分で10月20日東京に着いた。
ところが、東京の風にあたり浮かれ気分が一気にさめて怒りがこみ上げてきた。
研修会での行政説明(厚生労働省)がその原因だ。
説明では、
自立支援法廃止は、すぐにはならない。当面、法改正を必要としない財源措置でいくことになるだろう・・・・・・。ここまでは、理解できる。ところがこの後の説明がとんでもないものだった。
今までに何回もみた(見せられた)パワーポイントが次々に映し出された。
「自立支援法のポイント。」「昨年の社会保障審議会障害部会の報告。」「今年廃案となった改正案。」などの説明が延々とつづいた。
そして、新しい法律は、当然、自立支援法の理念を生かしたもので、多くのみなさんの意見を聞いた昨年の障害部会の報告がもとになり方向性は、なんらかわらず・・・・と自信満々で説明された。
自立支援法は過去のもので自民党政権の残骸だ。なんて思ったら大間違いなのだ。
そもそも、この法律は厚生労働省が草案し、政権与党の了解を得て成案したものだ。
政権が変っただけだ。厚生労働省は何ひとつ変っていない。
法を根本から変える気などさらさらない。口うるさいところだけ手直し程度ですます腹づもりは明らかだ。
自立支援法は何が問題なのか?厚生労働省からは絶対出てこない。
福祉を商品化し、公的責任を放棄した福祉の基礎構造改革が根本的過ちなのだ。
『さようなら!自立支援法。つくろう!わたしたちの新法を。』10月30日の全国フォーラムを成功させる意義はきわめて大きい。
障害分野が変れば、高齢、保育など日本の福祉が生き返る。
主張 9月27日 楽観はできない!が、自立支援法違憲訴訟に光
自立支援法違憲訴訟で国はこれまでの争う姿勢を中断した。
被告側(国)24日広島地裁での口頭弁論で新政権の方針を前提に検討するための「時間的猶予を3カ月程度ほしい。」と述べた。 以後、各地の訴訟でも同様の対応が始まっている。
これまでの争う姿勢からの方針転換と、マスコミは一斉に報道したが厚生労働省内部の巻き返しも予想されるので楽観はできない。が大きな1歩であり光がさしてきたのは間違いない。
厚生労働省は巧妙である。「ハートピアきつれ川」問題でも主役は全家連でも全精施協でもない。「厚生労働省」だ。自らが計画、先導し事を起こし、解散、譲渡、解散、売却のシナリオをえがきながら「あめ」と「むち」で障害者団体をあやつり税金を垂れ流した結果と思えてしかたがない。
自立支援法をめぐっては廃止後の新制度の中身が問題である。現時点ではまだ霧の中である。
障害者、関係者は目先の利害にまどわされ厚生労働省の分断攻撃に決して乗ってはいけない。すべての関係者が共同して新制度の中身をつくることが求められている。
朝日新聞報道記事 2009年9月24日
障害者自立支援法、違憲訴訟で係争方針変更 国側示す
福祉サービスに応じて障害者に原則1割の自己負担を求める障害者自立支援法は、憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、広島県廿日市市の夫婦と広島市の男性が国や市に負担の取り消しなどを求めた訴訟の口頭弁論が24日、広島地裁(橋本良成裁判長)であった。被告側は、全面的に争うこれまでの方針を転換する考えを示した。
長妻昭厚生労働相が同法の廃止を明言したのを踏まえての判断。今後国は、各地の地裁で係争中の訴訟でも同様の対応をとるとみられる。
被告側代理人はこの日の弁論で、予定していた準備書面の陳述を取りやめ、「新政権が支援法を廃止し、新たな制度をつくると言っており、その方針を前提に検討する必要がある。時間的猶予を3カ月程度ほしい」と述べた。
廿日市市の原告秋保(あきやす)和徳さん(58)は「厚労相が支援法を廃止すると明言し、司法の場にも変化があったことは一歩前進。ただし問題は、国がどんな制度をこれから組み立てていくかだ。尊厳ある暮らしをしたいという私たちの希望に沿った制度が保障されるまで、国に働きかけていきたい」と話した。
日本障害者協議会の藤井克徳・常務理事は「障害者が尊厳ある人間として社会生活を送りたいと求めてきた闘いに光が見えてきた」と評価したうえで、「支援法にかわる新制度で障害者の所得保障などが実現することが課題」と話した。(森本美紀)
主張 9月24日 『全精社協』補助金不正流用疑惑・真相解明を求む
またしても、厚生労働省や関係する政治家がらみの疑惑がマスコミを賑わせている。
『全国精神障害者社会復帰施設協会』にまつわるものだ。
そもそも、不自然で、きな臭いといわれてきた事がやっと明るみに出始めた。
厚労省の主導で事が運ばれたとされている「全家連解散・ハートピアきつれ川の運営先の引継ぎ」問題が事の始まりだ。
http://www.kyosaren.or.jp/commentomo/2007/75.htm (コメンTOMO2007年4月20日)
全家連(全国精神障害者家族会連合会)が設置運営していた「ハートピアきつれ川」(授産施設制度などを活用しての保養施設)は総経費20億円余のうち約半分が公費であった(残りはカンパや借り入れなど)。
2007年4月17日の全家連の解散に伴って「ハートピアきつれ川」は全国精神障害者社会復帰施設協会(略称は全精社協)に格安の条件で引き継がれたが、結局は2009年3月に廃業となった。
厚生労働省は、この件のいきさつについて説明を避けてきた。
新聞報道によると、全精社協は「ハートピアきつれ川」の運営を引き継ぐために便宜を図って貰うために、厚生労働省所管の補助金を裏金にして元厚生労働省S部長(後に福祉医療機構理事長)に多額の商品券をおくった。さらに、自民党元幹事長●●氏、自民党で元厚生労働副大臣●●氏など4名に違法な政治献金をした。とされる。
厚生労働省の補助金を迂回して政治家、厚生労働省幹部に還流、横流しした構図だ。
元厚生労働省S部長は、先に障害者郵便料金不正事件で逮捕された村木氏の上司である。
元障害福祉課長の松嶋氏も含め自立支援法の成立にかかわった総キャストが疑惑舞台で総ぞろいした。
当時、厚生労働省は自立支援法成立に一念をかけ、障害者団体の分断、切り崩しに奔走したそうだ。さそいにのって切り崩された障害者団体の幹部もいると聞き及ぶ。
自立支援法制定の責任者でかつ疑惑の中心の元厚生労働省S部長、そして、厚生労働省は自ら今回の件だけでなく自立支援法成立にむけての策動の事実も明らかにする責任がある。
このままでは、厚生労働省は国民から信頼されない。
主張 9月11日 〜総選挙結果をうけて〜 きょうされんがコメント
自立支援法の廃止を実現し、新たな法制度の確立の準備を
■政権交代の光と影
第45回衆議院選挙は歴史的な結果を迎えた。自民党の決定的な下野は戦後の日本の政治にとって初めての経験であり、障害保健福祉施策にも大きな影響を与えることになる。
振り返れば前回の総選挙は、国民全体が小泉内閣の「官から民へ」という謳い文句に踊らされた感が強い中、自民党と公明党の与党で2/3の議席を獲得するという勢いだった。障害者自立支援法もこの勢いに乗っかって成立したわけだが、あれからわずか4年で真逆の結果を迎えことになる。自立支援法の直後に成立した後期高齢者医療制度も、新しい政権の下では廃止される見通しであり、生活保護の母子加算も復活される可能性が出てきた。小泉内閣の下で強行された社会保障制度の削減に対して、国民は明確に「ノー」という意思を表明したわけだ。ただ、民主党がこれほどの議席数を獲得したという結果は、小選挙区制度の問題点ともあいまって、空恐ろしい感がある。
■新政権に問われていること
それでは、これからの障害保健福祉施策はどうなるのであろうか。新政権を担う民主、社民、国民新の各党は「自立支援法の廃止」を公約に掲げていたわけで、これは何としても実現させなければならないが、一筋縄ではいかないだろう。そもそも自立支援法の発端は、財源不足を理由として現行の介護保険制度と障害保健福祉施策を統合することにあったわけで、政権が変わるとはいえ厚労省がこの統合方針を簡単にあきらめるとは思えない。この点の官僚の巻き返しは必至であろう。また、もともとは民主党自身も介護保険との統合に肯定的な見解を示していたという経過もあり、新政権になったからと言って自動的に事態が好転するわけではないだろう。自立支援法の廃止という目的を達成するためには、これまでのような運動を従来以上の質と量をもって展開する必要があるのだ。社会保障制度はお上が与えてくれるものではなく、運動によって勝ち取るものであるということは、歴史を振り返れば明らかだからだ。
以上を踏まえて、新政権には以下のことを注文したい。まずは、10月下旬に召集されると言われている臨時国会での鳩山新首相の所信表明演説において、自立支援法を廃止して新たな法制度を構築することを明言し、とりわけ応益負担と日払い方式の廃止については臨時国会で必ず実現させるべきである。次に、年末にかけての来年度予算編成に当たり、自立支援法施行後の実態を改めて把握することと報酬単価や障害程度区分などの問題点を改善する必要がある。そして、2年程度かけて自立支援法を完全廃止への備えと新法の検討にも着手しなければならない。このような自立支援法の完全廃止までのプログラムの全容を、この秋に明示することが求められているのである。また、民主党は今年度補正予算の組み替えや来年度予算をゼロベースから見直すことを表明しており、この過程で障害保健福祉分野への予算配分の大幅な増額に道を開くことができるのかどうかも注目点となる。
更に、その後の中長期の課題を解消するに当たっては、民主党が前の国会に提出していた「障がい者制度改革推進法案」が軸となろう。この法案は5年という期限を設け、その間に障害保健福祉施策を総合的に見直そうというものであった。これの精度を更に高めて具体的な施策にしていくことが求められる。
■当事者の参画で新たな法制度を創造する絶好の機会
今回の総選挙は、事前から政権交代の可能性が高いと言われてきた。そのためか、旧与党の友好団体と言われた障害団体の中でも選挙前から民主党とのコンタクトを図る動きもあった。しかし、このように時の政権与党にすり寄る形での変わり身の早さとは決別するべきではないだろうか。与党のみとの関係を重視する姿勢が、必然的に政官民の癒着を生み、健全な制度の構築に支障をきたすことになるのは周知の事実である。
新政権の下で自立支援法に代わる新たな法制度を構築する可能性が開けてきた今こそ、私たち障害団体にとっては新たな制度を創造する絶好の機会である。政治との適切な距離を保ちつつ、障害のある人と障害団体の実質的参画の下で、地域生活を本当の意味で前進させることのできる法制度を確立させることこそが求められている。言わば、自立支援法によってマイナスに追い込まれた障害のある人たちの暮らしを、一旦はゼロに戻した上で、本当のプラスに転じさせるチャンスなのだ。
きょうされんとしても、そのために積極的な役割を果たすべく、9月18日に行われる第32回総会において、新政権の下での今後の法改正についての見解を示す予定である。
主張8月21日
大阪府は新型インフルで休業した施設の収入減に対する助成をしてください。
最近、死亡者まで発生し再度、新型インフルエンザが大きく取り上げられている。
高校野球やプロ野球では選手に感染が広まり試合にも影響が出てきている。
あと数日で学校が始まり集団生活が始まる。感染拡大の危険日が刻々と迫ってきている。
8月17日、神戸市は新型インフルエンザ発生時に休業する高齢者・障害施設への助成を行う。と新聞報道された。
詳細は未定であるが、公益性の高い社会福祉施設の安定化を図ることを目的とし、5月に発生した時点に遡って適応する。当然、今後、同様の事態が発生しても適応されると推測される。
神戸市の、社会福祉施設の公益性に着目している事。今後も視野に入れている点は大いに評価される。
私達の大阪府の対応はどうか?
今年5月に感染者が発生し大阪府下でも北摂地域を中心に休業要請がだされた。
休業をした施設が休業による経営危機を訴え大阪府に助成を求めたが、大阪府は橋下知事が『映画館なども同様の損失があった。だから福祉施設だからという理由で損失補填はしない。』という趣旨の発言を行った。
損失に対する対策は何も行わなかった。今後も予定されていない。
付け加えると、国は補正予算の活用で助成することも可能。と通知し、大阪府以外の兵庫県も滋賀県も様々な方法で助成を行った。
大阪府下では市町村単位では、ほそぼそと支援をおこなったところもある。
くどいが、何もしなかったのは大阪府だけである。
橋下知事の社会福祉施設の公益性を認めていない。事が最大の問題である。
大阪府社会福祉協議会は、8月末に来年度予算要望を行う。そうである。
新型インフルエンザ対策も要望項目に入っていると聞いている。
橋本知事殿。
国に恒久的な保障制度を近畿知事会の一員として要望されておられますが、その趣旨にそって『福祉施設の経営を守るのが私の責務』と決意を示してください。
大阪府がこのまま何もしないなら、施設を守るために、休業要請をされても休業できない施設が出てくることは間違いないということを理解してください。
主張5月29日 新型インフルエンザ対策・・府に緊急要望
5月25日、大阪府に障害関係5団体が共同で緊急要望書を提出いたしました。
大 阪 府 知 事 橋 下 徹 様
新型インフルエンザについて状況報告と緊急要望
2009年5月25日
新型インフルエンザの感染拡大防止のため、大阪府行政の皆様におかれては、昼夜を問わずご奮闘のことと感謝申しあげます。
私ども障がい者支援事業所の多くも、インフルエンザ感染拡大の防止に取り組むべく休業をしており、休業中は、訪問や電話による確認をはじめ、家族介護が困難な家庭への支援や、家族の通院保障のための見守り支援、緊急ショートスティの利用調整など状況を把握しながら対応をしてまいりました。ご承知のとおり、障がい者授産事業所では、お客様からの納期や日々の注文をこなしていかなければならず、休業期間中については、職員で対応をすすめてきました。
また、今回、単身で生活している障がい者に、充分に情報が行きわたっていなかったこともあり、今後において対応が必要と考えます。現在でもマスク着用や手洗いの徹底、体調チェック等行い感染の防止に努めておりますが、マスクの入手が困難になっている状態もあります。
さる23日に大阪府では、都市機能の回復に向けた対応方針を決定され、学校をはじめ私どもも事業再開に向け動きだしたところでございます。
こういった状況にあって、今後の感染の状況についての見通しがわからない中、休業が続く、あるいは感染地域が広がるという事態になれば、医療機関での対応等を含め、大きく影響が広がると思われます。
さらに、障害者自立支援法による日割り単価が導入されたことから、休業した施設・事業所は今回、経営的に影響を受けることとなり、日割り単価の矛盾が明らかになりました。
私たちは、大阪府行政との緊密に連携をしながら、今後とも感染拡大の防止等に努めてまいりますが、このたびのことを踏まえ以下の要望につきまして是非ご検討及び対応いただきますようお願いいたします。
記
1.障がいのある人たちが感染の疑いがあった場合また感染した場合の相談・治療・支援について不安を感じるので、障がいの種別によっての細やかな配慮をお願いします。単身の障害のある人たちへの訪問や相談については、情報が行き渡っていない事やマスク等感染予防備品の不足など、各作業所・事業所とともに行政関係者(福祉部・保健部のワーカー等)の協力を得られるようご配慮ください。
1.府下自治体によって対応等に格差が生じないようにつとめてください。
1.休業により障がい者本人のストレスや生活リズムに乱れが生じます。それに伴う家族による本人への支援にも限界が生じるので対応できる手立てを一緒に考えてください。
1.府下の臨時休業対象の小規模作業所・地域活動支援センターなど開所日数・人数カウントへの配慮や、日額払いとなっている日中支援事業所について休業期間中の運営補助などの補償をお願いします。また、それに対して余分な負担を利用者に求めないようにしてください。併せて各市町村に対して休業中の補償について格差のないようご指導をお願いします。
1.国に対して日中支援事業所等の休業中の運営補償、ならびに代替サービスとしての居宅介護等への補償も行われるよう大阪府として要望を出してください。また、国の対応が遅れる場合は、府として独自の対応をお願いします。
以上
緊急要望団体 ○きょうされん大阪支部 支部長 山本伸二 ○大阪知的障害者福祉協会 会長 安本伊佐子 ○大阪手をつなぐ育成会 理事長 藤田光司 ○障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 議長 楠敏雄 ○大阪府社会福祉協議会 セルプ部会 部会長 西山和幸 以上 5団体
主張 5月27日 障害者自立支援法見直し法案についての見解
5月14日 きょうされん常任理事会
1.はじめに
2月12日に与党障害者自立支援に関するプロジェクトチーム(以下、与党PT)は「障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針」を示し、「介護保険との整合性を考慮した仕組を解消し、障害者福祉の原点に立ち返り」などとして事態が好転するかのような期待感をもたせた。
その後、厚労省は障害者自立支援法(以下、自立支援法)の見直し法案を作成し、3月31日にこれが閣議決定を経て国会に上程された。法施行当初から批判が絶えない応益負担の扱いをはじめ、全国の当事者・関係者から大きな注目が寄せられたが、結論から言うと、与党PTの意気込みは大きくトーンダウンし、今般の見直し法案は現行法の枠内にとどまり表層的な修正に終わった。
まだ政省令が示されていないため不透明な部分も多いが、この段階できょうされんとしての見直し法案に対する見解を示し、今後の作業が真に障害のある人やその家族の暮らしを守る方向で進められることに寄与したい。
2.見直し法案に対する基本評価
*最大の問題点である応益負担の仕組みが明確に残ってしまった。全国からの反対の声に押される形で講じた2度の軽減策をもって応能負担と呼び変えているに過ぎず、生きるため、あるいは社会参加のために不可欠な支援を益としてこれに負担を課すという誤った政策理念は何ら修正されていない。
*介護保険との統合の布石と言われる応益負担、障害程度区分などの基本骨格は維持されたままであり、また相談支援体制の修正については介護保険の仕組みを模していると言ってよい。このように「介護保険との整合性を考慮した仕組みを解消」するどころか、統合の火種は一層強さを帯びている。
*障害のある人の地域生活を真に前進させるための必要な手立ては先送りされた。具体的には、附則にも制度化の必要性が明示されかつ最も障害当事者からニードの強い所得保障については何ら触れられなかった。また、障害の範囲については発達障害を法の対象に加えただけで、高次脳機能障害や難病などによる障害については法文に盛り込まれず、引き続き他の障害との格差を残すこととなった。
*以上の点から、今般の見直し法案は「抜本見直し」の名には値しない。当事者や関係者の声を無視して拙速な強行採決までしたという自立支援法の成立過程を想起すれば、いくら部分的な修正を重ねようがそこには拭い難い本質的な問題が潜むのであり、いったんは廃止するべきである。廃止に当たっては当事者や事業所が混乱しないよう、十分な準備と経過措置を講じることが必要であり、その上で地域生活を真に前進させるための新たな立法体系を構築するべきである。
3.見直し法案の具体的問題点
利用者負担について
1. 見直し法案の第29条第3項第2号で「(当該政令で定める額が前号に掲げる額の百分の十に相当する額を超えるときは、当該相当する額)」との規定が盛り込まれたことによって、実質的に応益負担の仕組みが残されてしまった。
2. 第29条第3項第2号で「家計の負担能力その他の事情をしん酌して」とあることから、本人以外の家族の収入も収入認定される余地を残してしまった。また利用者負担額を決めるにあたっては、障害のある人の収入が少ないことを十分に配慮する立場から、支援費制度時代同様に生活保護法による基準生活費(生活扶助費第1類及び第2類の額)の1.5倍の額を必要経費として認めた上で、本人の収入からこの必要経費を差し引いた額をもとにするべきである。
障害者の範囲について
1. 見直し法案では高次脳機能障害と難病による障害などが障害として認められていない。
2. 障害者の範囲については現在の制限列挙方式を改め、ICFや障害者権利条約といった国際的な到達を踏襲しながら、当事者や団体との協議を十分に重ねて、社会モデルの立場から環境要因などを含んだ規定を開発するべきである。
障害程度区分について
1. 必要な支援の内容と量は本人のニーズと環境要因によって規定されるべきであるにもかかわらず、見直し法案ではこの点が全く考慮されていない。
2. 見直し法案では障害程度区分の名称を障害支援区分に変えるとしているが、現在の仕組みをベースとして聞き取り項目を増やす程度の変更であれば、看板の掛け替えに過ぎない。与党PTが言うように「介護保険との整合性を考慮した仕組みを解消」するのであれば、現在の仕組みは撤廃してニーズと環境要因によって必要な支援を決める新たな仕組みを構築するべきである。
相談支援について
1.相談支援はそもそも障害のある人のニーズや生活状況などを総合的に把握するべきものだが、見直し法案では相談支援を細かく分けており、これでは利用者の混乱と不便さを増すだけである。自立支援法が構想された初期段階では、雇用・就労分野をも網羅したより総合的な相談支援体制の確立が目指されていたはずで、明らかに逆行するものとなっている。
2.相談支援事業を個別給付事業に位置づけるとしているが、応益負担が解消されなければ、利用者には新たな負担が課せられることになる。
3.社会資源や相談支援事業所が圧倒的に不足している現状を解決することが優先されるべきである。この点を放置したままで相談事業を細かく細分化するだけでは利用者は混乱し、それだけではなくサービス利用の抑制機関となりかねない。
地域における自立した生活のための支援について
1. 見直し法案では、これまで入所施設のみだった補足給付の対象をケアホーム・グループホームに拡大するとしているが、2万数千円程度の手元金では地域で暮らせない。そもそも補足給付は応益負担を前提とする軽減策として登場したわけだから、これでは地域生活の前進にはつながらない。
2. 現在のケアホーム・グループホームの低廉な報酬では一人ひとりに適した支援を確保するだけの人員配置は不可能であること、見直し法案では支援の必要度が高い身体障害のある人のケアホーム・グループホームの利用を認めたことなどから、報酬の飛躍的な増額が必要である。
3. 移動支援の中で重度の視覚障害者を対象とするものだけを個別給付事業に位置づけるとしているが、その他の障害についても同じ扱いとするべきである。
事業体系と報酬単価について
1. 見直し法案では事業体系には手を加えられていない。競争主義や成果主義に基づく現行の事業体系は解消し、労働行政と福祉行政の連結によって社会支援雇用制度(いわゆる保護雇用制度の改良版)の創設に道をひらくべきである。
2. 2009年4月から報酬が改定されているが、本体報酬はほとんど上げず加算のメニューを増やしているだけであるため、一層成果主義の色合いが強くなり多くの事業所の運営は引き続き困難に直面している。また、見直し法案においては日払い方式を継続することとしており、経験と学習を積んで力量を備えた職員の確保が困難な現状を改善するには至っていない。
主張 5月19日 インフルエンザ対策は現場目線で
障害者作業所の実態から訴える。
兵庫県、大阪府では新型インフルエンザ対策に障害者作業所も追われている。
休業要請の地域も広がっている。
感染が確認された地域から近い市町村の施設は、『休業要請が下されるのは時間』だと戦々恐々としている。
本日(19日)、尼崎の施設から、明日から休業になりました。800万円収入が減少します。と連絡があった。
わかくさ福祉会も1週間で600万円収入減である。
突然の施設の休業は利用者、家族のみなさんも大変な状況に追い詰めている。
福祉サービスを組み合わせることで生活がなりたっている利用者や家族が、1週間も、何の支援なしに暮らすことは容易ではない。
突然、『明日から休み』といわれても受けいれることができない利用者は家庭でパニックになる。
複数の家族から悲鳴の電話が初日からかかってきた。
2日目からは、自宅での対応が困難な方の受入れなど柔軟な対応を行っている。
障害をもった人は感染して医療機関で受診することも簡単ではない。
休業中、毎日、電話で感染しないよう手洗いなど注意喚起と健康状態の聞き取りを行っている。
家族からは、いつから通えるのか?といつも聞かれるが答えられない毎日である。
作業所では、突然の休業で利用者の給与になる『就労支援収入』が影響をうける。利用者の方の工賃を減額せざるを得ない事態に発展する。
グループホーム、ケアホームの昼間の支援は施設職員で対応しなければならない。
ホームの利用者の方も1日中、1週間もじっとホームだけで生活せざるをえないので大変だ。
そして、事業者にとっては休業期間の収入減は頭がいたい。
自立支援法によって、日額払いになった影響で休業期間中は収入が全くない。
休業要請といいつつ実質的には命令である。
行政は、感染を防ぐ責務がある。合わせて、休業要請で支援のパイプが突然切断された人への対策をうつ責務がある。
24時間の福祉相談や即座にかけつけることができる緊急支援体制づくりである。
事業者への休業補償を一日も早く決断することである。
噂話では、9割保障制度の活用などがささやかれているそうだ。
多くの、施設が自立支援法により事業移行を行い、分離、合体、定員増などを行っているので、制度上の9割保障では、実質6割程度になる実態がある。
さらに事業所によっては制度の対象にもならない。
実態を全くみれていないこんな方策は絶対容認できない。
バラマキ批判の強い補正予算はただちに撤回して、真に生きた金の使い方に改めるべきである。対策は、常に現場目線おこなわなけばならない。
そもそも、社会のセーフティネットである福祉を、市場に投げ出してサービス産業に組み入れた、基礎構造改革が誤りであった事を真摯受け止め舵を切り替える時である。
主張 4月29日 障害者自立支援法訴訟にご支援を
大阪でも障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会が立ち上あがる。
「障害者自立支援法」は「障害」があることによる社会的な支援を「益」であるとし、必要なサービスに「応益」負担を強制します。「障害があることは個人の責任」なんでしょうか。
今、全国8地裁で、提訴された、障害者自立支援法訴訟、大阪でも、第一次提訴で、5人、4月1日には、新たに6人の第二次原告が提訴を行い、利用料負担の不当性を問うて本格的な公判が展開されようとしています。
すでに全国的には、2008年10月27日「障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす会発足集会」が開かれ、全国から160名が参加して、この訴訟の勝利をめざして、支援活動が展開され始めています。
大阪でも11人の原告が立ち上がる中、是非この訴訟を支援しようと、準備会が結成され、その支援方法等の協議を行なうと共に、幅広い分野からの呼びかけ人を集ってきました。
こうして、4月4日、大阪市北区民センターに130名強が集い、「大阪障害者自立支援法の勝利をめざす会」が結成されました。
結成総会には、原告・弁護団をはじめ、各地域の団体・個人の支援者がつどい、この訴訟の意義と勝利への決意を固めました。
また、呼びかけ人を代表して、愼英弘さん(四天王寺大学大学院教授)は、「自立支援法は、三障害の一元化によって、ニーズにあったサービスを画一化し、福祉サービスの資本主義化によって、利用者負担を強化した。応益か応能かではなく、福祉サービスは原則無料であるべき、この訴訟は、司法・行政のいずれもでも勝利することが大切。」とこの訴訟の意義を強調されました。
【大阪めざす会結成呼びかけ人】(敬称略:4/3現在)
○ 藤本義一(作家)○大谷昭宏(ジャーナリスト)○愼英弘(四天王寺大学大学院教授)○牧口一二(NPO法人ゆめの風基金代表理事)○三田優子(大阪府立大学准教授)○松端克文(桃山学院大学准教授)○瀧澤仁唱(桃山学院大学教授)○山本敏貢(大阪千代田短期大学副学長)○清田 廣(大聴協会長)○辻 一(脊損協会長)○山口博之(大精連代表)大野素子(大家連会長)楠 敏雄(障大連議長)○大北規句雄(総合福祉協会理事長)○呉 光現(NPO精神障害者支援の会HIT理事長)○中内福成(障連協代表幹事)○河野直明(きょうされん大阪支部長)
アピールに賛同し、一口 500円 の ご支援をお願いします。
障害児者施策への「応益負担」に強く反対し、
「障害者自立支援法訴訟を支援する」5000人アピール
2006(平成18)年4月より施行された障害者自立支援法(以下、自立支援法)により、施設やホームヘルプ等の支援の利用を受けるための負担の仕方が、それまでの所得に応じた応能負担から、一律に1割を負担する「応益負担」に変わりました。多くの障害者・家族が多額の利用料負担を強いられ、全国では約1,650人の障害者が施設を退所せざるをえなくなりました(厚生労働省調査)。
私たち障害者・関係団体は、2006年10月31日の、東京15,000人大フォーラムなど、全国各地で様々な運動を展開し、国会や政府を動かし、「特別対策」「緊急対策」等で、利用料負担の軽減策を実現してきました。しかし、法律上は、「応益負担」はそのままです。
「応益負担」の仕組みは、どのような詭弁を弄しようとも、決して障害福祉に馴染む制度ではありません。マイナスからのスタートをする障害福祉等の社会的支援は、「普通の国民としての権利の保障」であり、『益』とは無縁のサービスです。さらにその影響は、様々な分野に波及してきています。利用者に負担を強い、少ない報酬や日額支払いにより、施設・事業所の収入が減り、そして、その影響が職員に及び離職者が増え、利用者に対する支援の質が低下しかねません。
憲法は第13条で幸福追求権を、第14条では法の下の平等をのべ、第25条で、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を明記しています。そして第25条2項では、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。これによって日本の社会保障の体系が発展してきたといっても、過言ではありません。
「障害者自立支援法」にみられるように、障害者施策や、社会福祉施策の方向は、憲法の理念を大きく踏み外すものとなっています。
「障害者権利条約」が発効しました。その基本はすべての人々の人権の確立であり、障害を理由とする差別の禁止です。この理念は、憲法の第14条「法の下の平等」と基本的には同じもので、憲法の下、国内法の見直しを激しくせまるものです。
私たちは、この訴訟を支援し、障害者や社会福祉政策を根本から改めさせ、憲法に照らし合わせた施策の下、豊かな生活が営める制度の実現を求めるとともに、こうした願いを持つ多くの皆さんと共に、この思いを広げていきます。
アピールに賛同していただける方は
下記の内容をご記入いただき、FAX、メールで送付ください。
○資格 【 ・団体 ・個人 】(○をつけてください)
お名前(又は団体名)
肩書き
ご住所
TEL ( ) FAX ( )
E-mail
○賛同金(1口500円) 口 円
※賛同金は、郵便振替でご送金ください。
加入者名;きょうされん大阪支部
口座番号;00950‐2‐287828
※通信欄に、『「訴訟支援アピール」賛同金』とご記入ください。
○ お名前(団体名)の公表の可否 【 ・可 ・否 】(○をつけてください)
○「勝利をめざす大阪の会」ニュースについて
?メールで希望
?Faxで希望
?郵送で希望(但し、別途500円要)
(連絡先)障害者自立支援法訴訟の勝利をめざす大阪の会
(事務局;きょうされん大阪支部)
〒558-0011 大阪市住吉区苅田5−1−22−201
? 06-6697-9144 Fax 06-6697-9059
E-mail:osaka@kyosaren.or.jp
主張 3月2日 福祉の反対語
福祉の反対語は何か?辞典でもおそらく載っていないだろう。
では、福祉社会の反対語はなにか。
わかくさ利用者の岩井清さん(故人)は、著者『岩井清の世界』で、「弱肉強食社会」であると述べている。
弱肉強食社会の真ん中に新自由主義が座っている。
この思想は、「あらゆる規制をみなおし自由な競争に任せれば社会は発展する。」という。
この思想の本家はいうまでもなくアメリカだ。
日本型新自由主義はアメリカの強い要請を受け、すべての分野で基礎構造改革と称し、小泉、竹中時代に、もてはやされ一気に加速し吹き荒れた。
福祉分野も、例外でなく、契約、営利法人の参入など、市場に投げ出され福祉産業となった。
この瞬間に日本は、ヨーロッパ型福祉からからアメリカ型福祉に大きく舵を切った。
この暴走の真っ只中で、関係者の声を聞くことなく自立支援法は成立した。
成立後も、関係者の怒りは収まるどころか増幅し、多くの欠陥や矛盾が露呈してきた。
制度の欠陥に対する怒りに対し、自己負担軽減策、経過措置、基金事業など次々手立てを講じざるを得なくなり、法案成立当初の原型は日に日に消えていっている。
そもそも、福祉と相反する「弱肉強食の思想」を根底に持つ自立支援法が大きな批判をいつまでも受けるのは当然である。
「自立を支援する法律」=福祉の名を語るが福祉ではない。
失敗に気づき初めたアメリカは、変わり身が早い。チェンジギヤをいれ変えた。
なのに、日本は、いつまでも亡霊のように、弱肉強食の福祉を追いかけている。
今回示された報酬単価でも、事業者の経営基盤の安定といいつつ、思想は弱肉強食だ。
基本部分の底上げはしない。一方で成功報酬や、努力報酬など複雑な加算制度を設ける仕組みだ。
事業者間を競争させれば福祉が良くなる。という思想。これは、もう福祉の制度ではない。
いま、国民誰もが、求められているのは、連帯や安心だと思う。
主張 2月22日 報酬改定案に対して怒りをパブリックコメントに
今回の改定案は関係者の期待を、またしても裏切ったものです。
- 求められているのは、加算でなく基本部分の大幅アップです。
- 短期入所では、特に大阪の特徴である単独型(通所施設などが行う短期入所)は存続の危機です。
怒りを込めて厚生労労働省にパブリックコメントを送りましょう。締切は3月21日
以下のコメントも参考にしてください。
大阪の関係者から寄せられたコメントを紹介します。2009年度福祉サービス費の報酬改定案に対するコメント
厚生労働省は、先の新年度予算案の提案に当たって、1.良質な人材の確保 2.サービス提供事業者の経営基盤の安定 3.サービスの質の向上 4.地域生活の基盤の充実5.中山間地域等への配慮 6.新体系への移行の促進等を報酬改定の見直しの視点として、総額5.1%の増額を示すと共に、報酬算定構造の見直しを行なうとしていた。
また、2009年2月20日、この基本的考え方に基づき、「平成21年度障害福祉サービス報酬改定のための関係告示の改正について」を告示し、そのパブリックコメントを募集している。
障害者自立支援法の施行移行、当該法制化で、利用者負担の増額や報酬の日割り制度や新事業体系の中で、大きな問題が指摘されてきた。
具体的には、利用者のサービス抑制が進められて事と共に事業体にとっても、大きな収入減の中で、事業危機が深刻化し、職員の非常勤化や実務作業の増大などの労働条件の悪化が起こり、今や福祉事業で人材が確保できない状況が顕在化している。
こうした中で、これまで厚生労働省は、激変緩和措置などを引きながら対応を図ったとされているが、結果として新規事業への移行には歯止めがかかったままとなっている。
あわせて、人材対策として打ち出された2008年度第一次補正予算での対応は、未経験福祉労働者の雇用助成や第二次補正予算案における対策として打ち出された新事業移行促進事業・事務処理安定化支援事業・就労系事業利用に向けたアセスメント実施連携事業・潜在的有資格者等養成支援事業・複数事業所連携事業・職場体験事業・進路選択学生等支援事業等についても、いずれも付け焼刃な助成であることに加え、人材確保については、雇用対策としての色彩が強く、決して支援の質を向上さる物となるとは考えられない。
その点では、基本報酬の引上げによって、事業の安定化と共に、福祉人材の安定的確保、サービスの質の確保が期待されて来たところである。
こうした視点から、今般の基本的な報酬改定の提案について、コメントを行なうものである。【基本的な問題点】
第一に、今回の提案では、総額5.1%の報酬増額が基本として出されているが、この5.1%増額は、本来の障害福祉計画に基づく事業移行を想定したものとは考えられない。なぜなら、計画上の事業意向に伴う額は、自然増部分だけでも4%以上は確保されなければならないにもかかわらず、こうした額を含め、5.1%増額には、そもそも矛盾があるということである。
第二に、今回の改定では、加算方式が大幅に増え、基礎単価の増額は一定の比率にとどめられている。これでは、基本的な人件費への反映どころか、事業の安定化にもつながらない。
第三に、この加算方式についても、成功報酬・努力報酬の色合いが強く、努力して体制を整備すればこれを評価するとした加算の仕組みとなっている。この加算方式では、基本的な事業本体の安定化や支援の質の担保にはつながらない。こうした加算単価での評価額が、真に必要な人的体制を確保するには程遠いものとなっているなど、その単価設定の根拠が不明瞭である。
第四に、各事業の人員配置が、加算制度となることで、事業における人員配置基準を不明瞭なものとする恐れがある。したがって、まず人材の安定的確保やサービスの質の向上のため、事業のベースとなる報酬こそさらに引き上げること、また人件費について、その報酬上の根拠を明確にしたものとし、福祉労働者の身分保障を確立すべきである。加えて、利用者負担問題を前提とせず、報酬の日割り制についても抜本的に見直すべきである。
なお、以下個別事業について、幾つかの特徴的問題点を指摘しておく。
【個別の問題点】
(生活介護)
・個別障害程度区分報酬及び人員配置体制加算の二本立ての単価となっているが、こうした報酬額では、これまでの収入減を招く恐れがある。加えて、人員配置については、2.5:1以上の配置は、努力報酬となっており、常勤換算方で曖昧になった、人的配置基準が、さらに自由化され、配置基準そのものを否定しかねないものとなる恐れがある。
・障害程度に見合った、職員配置基準を明確にし、それに見合った基礎報酬方式を設定すべきである。(短期入所)
・他の日中系サービス利用者の報酬区分が新たに設けられたが、当該報酬は、実質的報酬の引き下げ(区分6:35%減)となり、こうした夜間方の事業として成り立たない状況が発生する。
・また、単独型加算の130単位もあまりに低い報酬であり、これらの事業所が閉鎖を行なわざるを得ない状況が発生する可能性がある。
・抜本的な報酬の再見直しが求められる。(ケアホーム)
・障害程度区分に応じ、人員配置を基礎とする報酬に変更されるが、この上げ幅では、実質の世話人の十分な配置は困難である。
・また、夜間体制・日中体制の確保については、加算方式となるが、こうした加算方式で実質的な人的配置を行なっていくことは困難である。
・また、地域生活移行個別支援特別加算は、こうした加算制度以外に、具体的な支援ネットワーク構築のための新たな施策の創設が必須であり、ホーム責任だけではこうした移行が確実に進むとは思えない。逆に、こうした加算制度の悪用の懸念すらある。
・基本的には、24時間を通じた職員配置及び夜勤体制がひける人件費を見込んだ報酬の抜本的見直しが求められる。(就労移行支援)
・基本報酬を引き下げ、加算にまわすとされているが、就労移行の専門性や質の確保が叫ばれている中、基本報酬の引き下げは、非現実的である。(就労継続B型)
・7.5:1を明記したことは評価できるが、その報酬額が変更なしなのは、他の事業と比較して不公平である。
・また10:1(481単位)から7.5:1(527単位)の変更のみでは、必要な人員の配置が可能とは考えられない。(グループホーム)
・職員配置を基本とした報酬だけでは、実質的支援の質の担保が不可能である。
・また、夜間防災体制加算だけで、夜間体制が保持できない事態に対する検討がさらに必要である。いずれにせよ、前提となる問題点を精査し、実質的な支援の質が担保され、福祉人材難を解消しなければ、福祉サービスそのものの危機的状況を招きかねない中で、改めて抜本的な報酬のあり方について再検討を行なう必要がある。
主張 2月14日 与党PT自立支援法見直し提案について
きょうされんがコメント
自立支援法見直し、未だ視界不良 〜「応益負担の方針転換」報道を受けて〜
■与党が見直しの基本方針を公表
今日も朝刊各紙が障害者自立支援法に関して、昨日(12日)の与党障害者自立支援に関するプロジェクトチーム(以下、与党PT)の動向を伝えた。
「障害者、応能負担に 与党PT方針 自立支援法見直し」(毎日)、「障害者の福祉サービス 所得に応じ費用負担 『1割』撤廃 与党PT、見直し案」(日経)、「定率負担見直し与党PTが決定 障害者自立支援法」(朝日)といった具合だ。
昨年12月17日に与党PTが発表した「障害者自立支援法の抜本見直しの基本方針(たたき台)」18項目に基づく議論が、昨夕の与党PTにおいて一段落し、本日(13日)の自民党障害者福祉委員会にて正式に公表された。
与党PTの基本方針は利用料以外の問題についても言及しているが、全体としては「現行法をベースにした修正」の域を出ておらず、「抜本的見直し」には及んでいない。
例えば、応益負担とのセットで導入された報酬の日払い制度は維持するとしているし、「事業所の経営の安定化を図るため必要な措置を講じる」「障害福祉サービス費用の額を引き上げる」と述べているが実効性は定かではない。
また、事業体系についても「新体系への移行が進まない理由を解明し・・・必要な措置を講じる」と述べるにとどまり、自立支援法の事業体系が抱える矛盾を解消する方向は示されていない。
小規模作業所については「移行が困難な小規模な作業所に対し、施設経営ができるように新たな受け皿の構築など必要な措置を講ずる」とあるが、「新たな受け皿」なるものを設けることで他の法内事業との格差を生む余地を残すのではなく、事業体系を一本化して小規模作業所もそこに移行することで課題を解消するべきではないか。
■改めて「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」
それでは、障害のある人が必要な支援を受けた場合の負担のあり方はどうあるべきか。
私たち障害者団体の間でも、この点については様々な見解がある。だから私たちは、まず支援費制度時代の応能負担に一旦は戻した上で、今後の負担のあり方については障害者団体や関係者との協議を重ねて、納得と合意の上で決めるべきだと主張してきた。
今回、与党PTが応益負担の根拠となっている自立支援法の29条の規定を見直すというのであれば、絶好の機会ではないか。
しかし、「(与党PTは)所得に応じた自己負担(応能負担)に変更する方針を決めた」(毎日)という報道から察するに、関係者の意見を十分に聞く時間はなさそうだ。
今こそ、自立支援法の成立過程をもう一度、思い起こすべきではないだろうか。あの時、障害者団体が問題にしたのは、応益負担を始めとした法の内容はもちろん、当事者の声を実質的に反映することなく拙速に結論を急いだ議論の進め方であった。
その二の舞を踏むようでは、出される結論の水準も推して知るべしである。障害のある人たちが心の底から訴えた「私たちのことを、私たち抜きで決めないで」という声に、改めて真摯に耳を傾けるべき時である。
■改正法案の内容は未だ不透明
〜「応益」を「応能」と呼び変えるだけに終わってはいけない どうやら、昨日来の「応益負担から応能負担へ」という報道を受けても、一件落着というわけにはいかないようだ。
ましてや、応益負担を基本骨格として月額負担上限額を所得に応じて設定する現在の負担方式を「応能負担」と呼び変えるなどということで決着を付けてはならない。
この結論を受けて、今後、改正法案作成作業は厚労省の手に移るわけだが、これまで与党PTに押され気味だった厚労省サイドとしては、巻き返しを狙っているかもしれない。
つまるところは、今回の3年後改定がどの程度の水準に落ち着くかは、まだまだ不透明である。
今後、2月末に改正法案をとりまとめ、3月上旬に国会に提出するとのこと。次の山場は2月末ということになる。
(コメンTOMO2009年2月13日)
主張 2月1日 今こそ小泉改革との決別を
麻生総理は施政方針演説で「官から民へ」といったスローガンや、「大きな政府か小さな政府か」といった発想だけでは、あるべき姿は見えない。市場にゆだねればすべてが良くなる、というものではありません。などと演説し話題になっている。
自民党内からも小泉改革を全面否定する発言がでてきた。
発言の主は、第二次小泉内閣厚生労働大臣尾辻秀久参院議員(自民党参議院会長)だ。
尾辻議員は、参議院代表質問で政府の経済財政諮問会議や規制改革会議について「新自由主義、市場原理主義を唱え、日本をアメリカのような国にすればいいと言ってきた。それが間違いだったことは今回の世界不況が証明した。責任は重く、廃止すべきだ」。「経営者の視点で改革が進められ、多くの人を失業に追い込んだ。(政府の)規制改革会議は責任をとらなければならない」。社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針についても「『できません』と素直に言えばいいのに、つじつま合わせで訳が分からないことを言っている」と切って捨て、「乾いたタオルを絞っても、もう水は出ない」と演説。
野党のような辛口の政府批判を連発し、諮問会議などを廃止して構造改革路線と明確に決別するよう麻生太郎首相に迫った。(尾辻氏の元厚労大臣としての自己批判も欲しかったが)
そのとおり。明快な発言、拍手喝采だ。
だが答弁にたった首相は「諮問会議などは政策の調査、審議で大きな貢献をしてきた」などとそっけない答弁。本気で小泉路線との決別は考えていない答弁だ。せっかくの施政方針演説も,
いつもどうり発言に重みがない。
最近、小泉改革を支持推進してきた人々も次々に『私の考えは誤りだった。』と自己批判している。
麻生総理も毅然と基礎構造改革との決別を宣言していただきたい。