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主張2010

2010の主張

主張 2010年12月3日

関係者の声聞かず、自立支援法改正案を可決

臨時国会が本日(3日)午後閉幕。
臨時国会最終日の本日、私たちの願いに聞き耳もたず、参議院本会議で改正案を可決した。
自民、公明ならともかく自立支援法廃止を約束した民主が賛成した。障害者分野でも政権交代に期待した人々を裏切ったと批判されるだろう。
今回の改正の問題点は、11月18日の主張をご覧下さい。

以下、毎日新聞記事を転載 (毎日新聞 12月3日(金))

<障害者自立支援法>参院で改正案可決・成立
障害福祉サービスの原則1割を負担する障害者自立支援法の議員立法による改正案が会期末の3日正午過ぎ、参院本会議で民主、自民、公明各党などの賛成多数で可決・成立した。社民、共産両党は反対した。サービス量に応じた負担から支払い能力に応じた負担を掲げ、発達障害を対象に明記する内容で、13年8月までの同法廃止と新法施行までの「つなぎ」との位置づけ。
 発達障害者や知的障害者の団体などから早期成立を求める声が強まる一方、同法違憲訴訟の元原告らは「1割負担の仕組みが残る恐れがある」と強く反発している。
 新法は、ほかに▽グループホームを利用する個人への助成▽障害児向け放課後型デイサービスの制度化▽相談支援体制の強化▽知的障害者らのため成年後見の利用支援を市町村の必須事業にする--などの内容。【野倉恵】

主張 2010年11月18日

衆議院厚労委員会、「改正」案を採択に怒り

昨日、衆議院厚生労働委員会で自立支援法改正法案が15分弱の審議で賛成多数で採決されました。反対は共産・社民のみでした。

障害者自立支援法違憲訴訟団など 抗議・会見
日時 2010年 11月17日(水)午後1時
  場所 厚生労働省 9階 記者クラブ

 11月17日午前にも衆議院厚生労働委員会において、質疑もなく障害者自立支援法「改正」法案が可決される見通しと報道されています。
 裁判所で確認された基本合意により、平成25年8月には障害者自立支援法は廃止され、総合福祉法=新法が施行されることが決定しています。
 平成24年2月頃には廃止法案と総合福祉法が可決、制定される予定です。
 ところが、上記「改正法」の施行は、障害の範囲の点を除けば、概ね平成24年7月か4月頃に施行されるものです。廃案になった旧法の終末期1年半のうち後半の約1年間だけに、旧法の制度「改正」を実施するわけです。
 総合福祉法が制定され、新法移行に全力を尽くすべき時期に、廃案された法の「改正」を行うことは、新法移行に混乱を招くだけです。
 6月7日に総合福祉部会から提起された「当面の緊急課題」は対応されるべきですが、それは法改正をしなくても実現できるはずです。
 利用者負担についても、この「改正」案は、現状の現行法4段階負担を応能と言い換えるだけで、応益負担を廃止するものではありません。
 これらの不可解な動きに抗議声明を発表します。

障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現をめざす会
障害者自立支援法訴訟全国弁護団
弁護団事務局
℡03(5297)6101
携帯090-4620-6883
fujioka@fujiokatsuyoshi-law-office.com
弁護士  藤 岡

主張 2010年10月29日

自立支援法の廃止と新法づくりを確かなものに

10・29大フォーラムに1万人が集う

        画像の説明

昨年、1万人の大フォーラムの壇上で、長妻厚労大臣は、「障害のある人たちの尊厳を傷つけた障害者自立支援法を廃止し、制度の谷間をつくらない新法をつくる」と約束しました。

しかし、いまだ「自立支援法」の枠組みに固執する動きもあります。

障害者制度改革をすすめるため、自立支援法廃止と新法づくりを確かなものとするため、日比谷に1万人人以上がつどい大きな声を上げました!
以下毎日新聞 記事

障害者集会:新たな支援策求め、1万人が参加--東京・日比谷
障害者自立支援法に代わる新たな支援策の実現を求める集会とデモ行進が29日、東京都千代田区の日比谷野外音楽堂と周辺で行われ、全国の障害者ら約1万人が参加した。
集会では、厚生労働省の岡本充功政務官が「新たな総合福祉法制の検討では、透明性、公平性や財源が大切」とあいさつ。参加者を代表して、視覚障害者の織田津友子さんが「どの地域でも障害者が差別なく地域で暮らせる権利を保障してほしい」といったアピール文を読み上げた。【野倉恵】

  • 10.29全国大フォーラム アピール
    今こそ進めよう!障害者制度改革 自立支援法廃止と新法づくりを確かなものに
    昨年、長妻前厚生労働大臣は、全国から1万人が参加したこの大フォーラムの場で、「重い負担と苦しみと尊厳を傷つける障害者自立支援法を廃止し、新法を、みなさん一人一人の意見を聞いて、みんなで一緒によりよい制度をつくっていきたい」と約束しました。
    障がい者制度改革推進本部の下に、今年1月から開始された「障がい者制度改革推進会議」と「総合福祉部会」は、権利条約の実現と自立支援法違憲訴訟の基本合意文書をベースにして活発に議論し、6月に画期的な「第一次意見」をまとめ、閣議決定がされています。
    しかし、5月には、政権交代前に出されていた内容をベースにした「自立支援法一部改正」法案が、私たち抜きにすすめられ、多くの批判が集中しました。
    私たちは、厚労大臣が約束したように、自立支援法が廃止され、当事者の声が十分反映された新法が実現することを切望しています。同時に、「緊急課題」については、新法を待たずに、予算措置の中で具体化すべきです。
    介護保険との統合への道を絶対に開いてはなりません。障害があっても、みんなが社会の中で人間としての誇りを持ちながら豊かに暮らしていけるように、権利条約のめざすインクルーシブ社会を一日でも早く実現していきましょう。
    私たちは、ここに参加している多くの仲間、関係者、そして全国の仲間たち、幅広い市民の人たちと連帯し、下記の諸点について実現に向け行動していくことを決意します。
                            記
    1、自立支援法廃止と新法づくりを確かなものとし、制度の谷間を解決しインクルーシブな制度確立を行うこと。
    2、権利条約の批准には、総合福祉法づくりとともに障害者基本法改正、障害者差別禁止法制定が不可欠である。これらを検討している障がい者制度改革推進会議の明確な法的位置づけと財源保障をすること。
    3、「地域主権改革」では、格差・社会的排除の拡大を生むことなく、どの地域においても障害者が差別されることなく地域で暮らす権利を保障すること。
    4、障害者の生活を直撃している「応益負担」をあらため、障害者本人の実態をふまえた負担への変更をすること。
    5、障害の定義は、制度の谷間をつくらず、発達障害や高次脳機能障害、難病等を対象に含め、障害者手帳の所持を要件とせず、サービスが必要と認められた者を対象とすること。新法制定までの間、必要とされるサービスは直ちに提供すること。
    こで生まれても必要な療育・保育等の支援が得られるようにすること。契約制度を見直し、放課後や暮らしの場に、子どもにふさわしい福祉サービスを実現すること。
    7、「できる、できない」ではなく「どのような支援が必要か」という視点から、 障害者一人ひとりのニーズに基づくサービス支給決定の仕組みとすること。
    8.どんなに障害が重くても、地域で暮らせるよう、自治体が支給決定したサービス、地域生活支援事業に対して国が責任をもって財源保障をすること。
    9、日常生活上で医療的ケアが必要な重度障害者の地域生活を保障するための、地域基盤の整備と介助保障の確立をすること。
    10、地域生活支援事業となり大きな地域間格差や後退が生じた移動支援事業やコミュニケーション支援事業等に対して、国が責任をもって財政保障をし、自治体が実施できるようにすること。
    11、手話通訳・要約筆記等のコミュニケーション支援は、その言語的な特性をふまえ、権利として保障されるべきであり、全て無料とすること。また、都道府県で実施できるようにすること。
    12、介護、日中活動、ケアホームなど地域生活の社会資源を維持できるよう、現行の日割制度をあらためるとともに報酬単価・体系の見直しを行うこと。
    13、真に「施設・病院からの地域移行」が進むように、「精神障害者退院支援施設」等の廃止と、ピアサポート等の当事者活動への支援・退院促進事業・地域での住まい確保策の充実を行うこと。
    14、所得保障、扶養義務問題等、手つかずの基本課題の解決をはかること。
    15、日本でのノーマライゼーション、施設・病院からの地域移行実現のため障害者予算の飛躍的拡充と地域生活のサービス基盤整備のための特別立法を行うこと。
    以上
     
    今こそ進めよう!障害者制度改革 自立支援法廃止と新法づくりを確かなものに
                   10.29全国大フォーラム 参加者一同

主張 2010年7月17日 

地域主権と大阪府第2次財政構造改革プラン

「地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めることのできる地域社会」
誰もが賛成する「言い回し」である。
先の政権与党も熱心だったが、民主党はもっと熱心である。
大阪府の橋下知事にいたって、熱心どころの範疇ではなく驀進・猛進である。
大阪府では、市町村への権限委譲が着々と進んである。
社会福祉法人や社会福祉施設の認可・指定・監査などもこの2~3年以内にすべて市町村に委譲されるだろう。
市町村によっては、今年度中の委譲もささやかれている。
一方、本年6月、大阪府は第2次(23年から25年)財政再建プログラム(PT)「たたき台」を公表した。
「理念・目的」は①地域主権で財政構造の抜本的改革②収入の範囲内で予算を組む。
具体には、400の事業を評価した。大阪版事業仕分けである。
評価の視点は、他府県との比較に重点が置かれ、大阪府のみが行っている事業は廃止である。
これまで、大阪府には住民の要求に応え様々な制度をつくり他県に誇れるものがあった。
しかし、橋下知事の第1次財政再建プログラクム(20年から22年)で多くが廃止された。
もう、今では国基準以上の制度はわずかしか残っていない。
今回のPT「たたき台」では、「わずかなもの」をもなくす計画である。
それどころか、地域主権を御旗に「国基準はなくせ!」「地方に決めさせろ!」と先頭になって国に発信中である。
そして、府の権限は市町村に委譲する。大阪府の役割はもうないのか?と思ってしまう。
今回のPT「たたき台」は、8月上旬には、知事が決定し9月議会で審議される予定である。
府民は、しっかり府政に目をむける時だ。

主張 2010年6月26日  きょうされんがコメント

「改正」劇の裏に何が?

廃止運動のエネルギーを再上程阻止の力に

■最後まで政争の具に
 自民・公明両党が突然提出し、あろうことか廃止を約束していた民主党までもが賛成し、強引に衆院で可決されてしまった自立支援法「改正」案(以下「改定案」)は、6月16日午後4時5分、参院の本会議が流れたことで廃案になった。
 会期最終日となった16日、「改定案」の参院可決を食い止めようと、500人の障害当事者や家族、関係者が詰めかけた国会は、自民党が提出した菅内閣不信任決議案をめぐって衆院本会議が空転していた。記名投票であるために時間を要し、不信任案への採決を含めて衆院本会議が終了したのは3時半を回っていた。これを受けて参院側が動き出し、4時に参院議院運営委員会が招集された。この中で与党から「菅総理大臣と荒井大臣に対する問責決議案、江田参院議長への不信任決議案を取り下げてほしい。地域医療機能推進機構法案の審議に応じてほしい。そうすれば参院本会議を開いて自立支援法の一部改正法案など3つの議了案件を成立させてもいい」と自民・公明の両党に持ちかけたという。自民・公明は政治的なパフォーマンスもあって問責決議案や不信任決議案を下ろすことには応じなかった。議院運営委員会は5分間で物別れとなり流会となった。これによって、参院本会議が開かれることなく国会は閉会となり、自立支援法一部改正法案は自動的に廃案となった。
■ねらいは統合策への地ならし?
 「改定案」の問題点は、コメンTOMO№92で解説した通りだが、第1には、障害当事者不在の強引な審議・採択の手続きにある。第2には、「応能負担に戻す」ことを標榜しながら、条文に「100分の10の負担」を残しており、応益負担を延命する点である。そして第3に、今回の「改定案」の目的があげられる。
 「改定案」について与党は、「新法制定までのつなぎのための当面の改正」という説明を繰り返してきたが、主要部分の施行期日は2012年4月だ。政府が約束した2013年の新法施行の1年前が、どうして「つなぎ」なのだろうか?厚さ3cmの「改定案」の全文を読んで、ようやくその疑問が解けた。
 「改定案」の施行期日は、基本の2012年4月、公布日から1年6月以内、そして公布日の3段階に分かれている。公布日に施行される主な条項は、発達障害を法対象とするぐらいで、その他の「100分の10」の応益負担を残す29条や、「事業者の業務管理体制の整備」、「相談支援の強化」、「支給決定プロセスの見直し」などは、公布日以降、つまり2012年4月までの施行を射程としている。
 その2012年、じつは介護保険法の定時改定の年である。それを踏まえて「改定案」を読み返すと、随所に介護保険法との整合性を意図した条文が散見できる。「事業者の業務管理体制の整備」などは、ほとんど瓜二つである。
 一方、本年4月から実施された「非課税世帯の応益負担無料化」には期限がある。改定を繰り返してきた自立支援法施行令に定められた「負担軽減策」の期限は2012年3月末であるため、「無料化」もこの期限が適用されてしまう。まさに「改定案」は、この期限切れを念頭においているのである。
 つまり今般の「改定案」は、自立支援法の延命にとどまらず、介護保険法との統合を誘導するものと言わざるを得ない。賛成した国会議員は、このことをどの程度知っていたのだろう。
■介護保険との統合で問題は解決するのか
 「老老介護」や「介護心中事件」など、いま高齢者介護は危機的な状態にある。団塊の世代が高齢期を迎える2014年には、200万人の介護難民が生じるともいわれている。
 2004年以来、厚労省は「介護保険の普遍化」と称して、一貫して介護保険と障害福祉の統合に固執してきた。それは、介護保険の財源不足を解消するために障害福祉と統合して、介護保険サービスの対象年齢と保険料徴収年齢を引き下げ、財源を確保するためである。しかし、「普遍化」という名の統合で介護問題は解決するのだろうか。
 すでに厚労省は、保険料徴収年齢を20歳まで引き下げた場合の試算を公表している(2007年、介護保険制度の被保険者・受給者範囲に関する有識者会議)。ところが、保険料徴収年齢を20歳まで下げて一旦保険料の軽減を図っても、2014年に保険料負担は増大してしまう試算だった。「有識者会議」では、「帳尻合わせの財源確保で問題は解決しない」という批判が相次いだ。
 今年5月の社会保障審議会・介護保険部会でも、2012年の定時改定の議論は始まっているが、「保険になじまないものを制度が抱えているので、それに対しては税財源を重点的に充てる必要がある」という意見や、保険料の引き上げよりも「公費負担割合の引き上げが必要」という意見が続出した。一方、「制度の普遍化」つまり介護保険と障害福祉の統合については、一人の委員が検討を求めただけで、同調する意見はなかった(6月7日、福祉新聞)。
 財源調達の帳尻合わせのための障害福祉との統合を強引にすすめるのではなく、高齢者福祉を根本から見直す視点で、まずは介護保険の批判的総括をおこなうのが本筋である。
■参院選で、廃止と新法づくりの「本気度」のチェックを
 そもそも、障害のある人と家族の生命と暮らしに係わる法案を、国会運営の駆け引きに利用し、「政争の具」とする政治に強い憤りをおぼえる。たしかに今回の廃案は、参院選を控えた国会会期末の政争が直接的な要因となった。しかし、参院本会議での審議・採択を引き延ばしたのは、まぎれもなく2千人が集った6月8日の緊急集会であり、14日から最終日まで連日実施した「国会前集会」での障害当事者・関係者の声が影響したことは言うまでもない。
 しかし、2004年と2008年の介護保険と障害福祉の統合を立て続けに失敗してきた厚労省官僚は、頑なに2012年の統合に固執し、現政権の「自立支援法廃止宣言」の着地点を、介護保険との統合に誘導しようというのか。であるならば、参院選後の臨時国会での「改定案」再上程は、十分あり得る。新法の方向性に即した当面の対応策としての「改正」なら了解できるが、自立支援法の延命と介護保険との統合への誘導を目的とした「改定案」の再上程は、断じてあり得ない。
 今後の政治のゆくえを決める参院選がスタートした。各党のマニフェストも発表されたが、わたしたちに求められることは、各政党の障害者政策の公約を総点検し、とくに与党については、自立支援法の廃止と新法づくりに対する「本気度」をしっかり探る必要がある。そして、政府が廃止を約束し、司法が和解調書に盛り込んだ「基本合意」を原点に、障害者権利条約の批准をめざした「制度改革」を推し進め、「みんなのための新法」を実現する運動の輪を、これまで以上に大きくしなければならない。

主張 5月27日

いったい、この政権は、どこへ向かうのか

自立支援法一部改正案に断固反対

廃止されるはずの障害者自立支援法が、昨日、超党派で改正案が提出され可決の見通しとのニュースが報道されました。
内容は、今国会に、自民、公明が提出している改正案にとほぼ同じようです。
障害者自立支援法廃止し新たに障害者福祉法制定するための、障がい者制度改革推進会議の動きが進んでいる時に突然でてきました。
まったくの突然です。つなぎ法案といっても時限立法としての法の終期も明記されていません。
廃止が決まっている悪法の延命につながりかねません。
障害者自立支援法違憲訴訟弁護団は、基本合意文書で確認された「障害者自立支援法を廃止し、平成25年8月までに制度の谷間をつくらない新しい法律を十分に当事者の意見を聞いてつくる。」とした姿勢に真っ向から反する看過できない重大な事態です。と緊急抗議声明をだして改正案の廃案を求めています。
障害者自立支援法制定における、拙速すぎた。当事者の意見を十分聞いていなかった。いう過ちを言葉では認めながら、今回の態度は障害者問題を国会の政争の具とするものです。
政権交代があり多くの関係者は期待しました。
しかし、この政権もどこかおかしいぞ!と多くの人が思い始めています。
「新しい公共」円卓会議で議論されたいる『既存の社会福祉法人などの福祉団体は補助金漬け、・・・・・・』と切り捨てて、社会事業法人が必要。とする動きもあります。
国民の多くが、この政府はどこにたどりつくのか?と危険を感じ始めています。
以下毎日新聞報道記事 5月26日

<障害者支援>つなぎ法案、議員立法で今国会成立へ
福祉サービス利用の原則1割を自己負担する障害者自立支援法の廃止を巡り、新制度開始までの暫定的な現行法改正法案が、超党派による議員立法で今国会に提出され、成立する可能性が強まった。障害が重いほど負担も重くなる「応益負担」から、支払い能力に応じた「応能負担」にし、発達障害を同法の対象と明記するなどの内容。

 現政権は13年8月までに自立支援法を廃止し、新たな障害者福祉法制度を開始させる予定だが、障害者団体から「それまでの間どうするのか」との懸念の声が上がっていた。

 改正法案は「障がい者総合福祉法ができるまでの間の障害者自立支援法改正案」(仮称)。障害程度区分によるサービス内容の決定前に、本人の希望を反映させる「セルフケアマネジメント」(仮称)の仕組みを導入するほか、仕事などをしながら少人数で暮らすグループホームの障害者に対する家賃助成なども盛り込まれる見込み。【野倉恵】

主張 2010年4月21日

障害者自立支援法訴訟が終結

『司法の場で結論が出た記念すべき日。新法制定に向けた新しいスタートだ』・・・・竹下義樹弁護団長

障害者自立支援法が違憲だとして、国や自治体を訴えた訴訟は4月21日、東京地裁で和解が成立し全国14地裁で計71人が起こした一連の訴訟が終結しました。
以下 毎日新聞の配信記事を転載

障害者自立支援法 「机上の空論作らぬ」定期協議で厚労相
東京地裁で21日、障害者自立支援法違憲訴訟が和解し、集団訴訟がすべて終結したのを受け、同日午後、原告側と政府の「基本合意」の進展を検証する初の定期協議が開かれた。この後、首相官邸を訪れた原告側と面会した鳩山由紀夫首相は「自立支援法でご迷惑をかけて申し訳ない。新しい法律を作り上げる願いを皆さまと共有している」とあいさつした。【野倉恵】
基本合意は▽同法を廃止し13年8月までに新制度を実施し、策定に障害者が参画▽制度の谷間を作らないための障害範囲見直し▽低所得者の医療費負担を当面の重要課題とする--などの内容。定期協議で長妻昭厚生労働相は「机上の空論で政策を作らず、現状をつぶさに把握したい」と述べた。
原告だった秋保喜美子さん(広島県)や家平悟さん(東京都)らは▽応益負担の速やかな廃止▽利用実績に基づく日払い制度で減った施設の報酬を、月払い制度に戻す▽地方分権推進でサービスの地域差を拡大させない--など10項目を求めた。政府側は「検討する」(山井和則政務官)などと答えるにとどまった。
今後の新法制定は、財源など課題が山積する。支払い能力に応じた負担とする方向で▽現行の障害程度区分見直し▽難病や発達障害、高次脳機能障害など範囲見直し、などが焦点。低所得者の医療費無料化(財源約200億円)も不透明だ。協議の場となる政府の「障がい者制度改革推進会議」は専門部会を今月下旬、発足させる。
官邸では、脳性小児まひの和歌山市、大谷真之さん(35)が「障害者の多くが生きるか死ぬかの思いをした。一人一人が夢と希望を持って暮らしたい」と述べた。鳩山首相は床にひざをつき、約60人と懇談した。

主張 2010年3月25日

自立支援法訴訟、初の和解 さいたま地裁「障害者の尊厳に傷」

  • これからが本当のスタート
    全国14の地裁で争われている自立支援法訴訟で、24日さいたま地裁で和解が成立しました。
    今後、大阪をはじめとする残り13地裁でも順次和解が成立し裁判は終結する予定です。
    この日、24日は、来年度予算が成立しました。過去最高の赤字国債にたよる国家財政は危機的状況であることは間違いありません。
    和解された内容(原告団の指摘した問題点を考慮し新法を制定)を実現するには福祉予算の大幅な増額が必要です。
    何を削って何を増やすか?まさに政治です。裁判は終結しますが、これからが本当のスタートです。。
    以下、夕刊の記事を転載      2010年3月24日 夕刊

    障害者への福祉サービス費用の原則1割を自己負担とする障害者自立支援法は違憲として、障害者らが国などに負担の免除を求め、東京、大阪、名古屋など全国14地裁で争われている集団訴訟で、初の和解が24日午前、さいたま地裁(遠山広直裁判長)で成立した。4月までに各地裁で順次和解し、すべて終結する予定。
     全国の原告・弁護団と国は今年1月、同法により一律定率の負担を求める現行の「応益負担」を廃止し、2013年8月までに新制度を施行することや、全国の訴訟を終結することなどを盛り込んだ基本合意を結んだ。
     この日は遠山裁判長が法廷で「国が障害者の尊厳を傷つけたことを反省する」とした基本合意文書の内容を確認。慰謝料などの請求は原告側が放棄した。
     埼玉県内の12人の原告団と弁護団は今後も存続し、「国が基本合意通りの施策や法の運用をしているか、厚生労働省との定期協議を通じて監視していく」としている。
     和解成立を受けて、厚労省は「(原告団・弁護団と国との)合意を踏まえつつ、障害のある方が社会の対等な一員として安心して暮らすことのできるよう努めてまいります」とコメントした。
    ◇和解骨子◇
    ▼国は障害者自立支援法を廃止し、新法の制定を確約する
    ▼新法制定に関しては、原告団の指摘した問題点を考慮する
    ▼国は障害者世帯の実態調査をせず応益負担を課して混乱を起こし、障害者の尊厳を傷つけたことを反省する
    ▼原告側は訴訟を取り下げ、国は取り下げに同意する
    ▼原告らは国家賠償など金銭的な請求を放棄する

主張 2010年3月18日

北海道のホーム火災(介護中に出火)・・・真の安全対策を急げ

またしても、グループホームで火災があり7人が焼死するという痛ましい惨事があった。
火災があったのは3月13日。北海道札幌市の高齢者グループホーム「みらいとんでん」だ。
火災があった建物は建築当初は一般の住宅として使用されていた建物だった。
報道によると警察は、運営責任者を業務上過失致死の疑いもいれて捜査するという。
この度の火事を簡単に整理すると以下の内容だった。
○当日はホームに認知症の高齢者が8人。
○当直職員は1名の女性職員(24歳)だった。
○火元は、1階の居間のストーブ。
○通常は、職員は火元になった居間で仕事している。
○出火当時、女性職員は火元の1階居間を一時的に離れ入所者のおむつ交換をしていた。
○火事に気づいた職員は消火器を使って初期消火をした。
○火の勢いが強く消火することができないので消防に火事を通報した。
○火のまわりが早く、自力で避難できない入所者が焼死した。

4年前、長崎県で同様のグループホームで7人か死亡する火災が起きた後、国(消防庁)は、再発防止のためにグループホームに対する防火基準を見直した。
見直された基準は、自力で避難することが困難な入所者が一定以上暮らしているホームでは
①275㎡以上の床面積があればスプリンクーラーの設置を義務とした。(以前は1000㎡以上)
②自動火災報知設備や火災消防署への自動火災通報装置も義務とした。
これらは、2011年度末までの猶予期間があるが、今回火災があった、「みらいとんでん」は床面積が250㎡以下でスプリンクーラー設置義務の対象ではなかった。

高齢者のグループホームは全国に約9000箇所ある。
障害者のグループホーム(ケアホーム含む)は全国に約19000箇所ある。ともに急増しておりこの傾向はさらに続く。
専門家は、見直された防火基準では対策が不十分で、今後も惨事は繰り替えされるという。

火災発生した時、避難が果たしてできるのか?と指摘する声が大きい。。
自力で避難できない高齢者、障害者が危険を背負ったまま暮らしている現状をなくす実効性のある対策を求めている。

必要な対策は何か?

  • どんなに小規模のホームでも職員の複数配置は、命をまもるための必要条件である。
    突然の火災。その時、はたして一人の職員で7人の自力避難困難者の避難誘導ができるだろうか?。私は、到底できないと思う。
    今回の火災では、結果は惨事となってしまったが、初期消火や通報などよくできた率直と思う。パニックになっても不思議ではない。
    ホームの一人宿直の実態は厳しい。いまでも、急病人がでて救急車に添乗したらホームには職員はだれも残っていない。
  • 一般家庭でも設置できるスプリンクーラーの開発をいそぎ、すべてのホームに設置すべきである。
    障害分野では、一般普通住宅をホームにしているケースがほとんどである。
    スプリンクーラーは、水道管に直結する簡易型が登場したが、既存住宅すべてに対応しているわけでない。従来の本格的なものも構造上、技術的にすべての住宅には対応はできない。
  • 建物の耐火構造を急ぐべきである。
    今回でも、もし耐火構造であれば、火も回りも遅い。避難できる時間があったかもしれない。消防への自動通報装置もいいが、消防が来る前に燃えてしまうような建物をホームに使用してはならない。
    通所作業所も、障害者自立支援法施行によって、今では、民家でも開設できる。耐火構造も求められなくなった。
    福祉施設の最低基準を、なし崩しにし、効率や費用対効果のものさしで福祉を変質させたツケは大きい。

複数の自力避難困難者が1名の職員と暮らしてる危険な実態から目を背けてたら惨事は繰り返される。冒頭の業務上過失致死の罪は国にあるのではないだろうか。

主張 2010年1月8日

障害者自立支援法:違憲訴訟で国と原告団が「基本合意」 (1月7日)

≪毎日新聞より転載≫

障害福祉サービス利用の原則1割を障害者が負担する障害者自立支援法の違憲訴訟を巡り、原告団、弁護団と長妻昭厚生労働相の3者が7日午後、「基本合意」に調印した。合意は、支援法実施で障害者に悪影響をもたらしたことについて、政府が「心からの反省」を表明、同法廃止後、13年8月までの新制度制定に障害者が参画するなどの内容。全国14地裁で71人が「障害が重いほど負担も重い(応益負担の)法律は憲法違反」と国を訴えた裁判は終結へ向かい、施行後3年余りの障害者福祉法制を大きく転換させた。

 基本合意は、このほか、利用者負担や制度の谷間を作らないための障害の範囲見直しなどを、新法の論点とする▽来年度予算案にない低所得者の医療費負担を当面の重要課題とする▽基本合意の履行状況を確認するための原告団・弁護団と国(厚労省)の定期協議の実施など。
 同日夕、厚労省内で開かれた調印式で長妻厚労相は「(法律で)皆さまの尊厳を深く傷つけ、心から反省の意を表明します。障害者施策の新しいページを切り開いていただき感謝申し上げる」とあいさつ。原告を代表し署名した原告第1号の広島県廿日市市、秋保喜美子さん(60)は「一人一人の(原告の)思いが合意に入り、感激している」、弁護団長の竹下義樹弁護士は「訴訟を終わらす決断をした71人の原告をたたえてほしい。これからがスタート」と述べた。
 裁判で原告らは、「法律は障害を自己責任のように感じさせ、生存権の保障を定めた憲法に反する」と訴えてきた。法施行後、福祉サービス対象者約51万人の75%を占める市町村民税非課税世帯では、9割で月額平均8452円負担が増えた。【野倉恵】転載終わり
運動が勝ち取った基本合意~これからが本当のスタート~
きょうされんがコメントを発表
http://www.kyosaren.or.jp/commentomo/2009/91.htm

主張 2009年12月27日

12月24日 『きょうされん』が緊急声明を出しましたので紹介します。

                                                 2009 年12 月24 日
     2010(平成22)年度予算編成で示された応益負担軽減策についての緊急声明
                                               きょうされん常任理事会
12 月23 日、長妻厚生労働大臣と藤井財務大臣の2010 年度当初予算をめぐる折衝において、低所得の障害のある人が福祉サービス利用を無料化するための予算として、約40 万人の対象として110 億円を計上することで合意したと伝えられた。きょうされんは、以下の点でこのことに対して強く抗議するとともに、再度の検討を求めるものである。
第一に、新政権の軸となっている民主党は先の総選挙においてマニフェストに「障害者福祉制度を見直す」ため「400 億円程度」として選挙公約に掲げていた。厚労省は、福祉サービスと自立支援医療、補そう具の低所得者の利用料を無料にするためには300 億円が必要であるとし、きょうされんは応益負担廃止の第一歩として、何としても最低300 億円の予算確保が必要だと訴えてきた。これは言いかえれば、300 億円を来年度予算で確保できるか否かが、応益負担廃止を表明している鳩山内閣の本気度を測るバロメーターでもあったわけだ。それが結果的に110 億円に「値切られた」となると、応益負担廃止そのものが怪しくなったと言っても過言ではない。いくら良い政策を口にしても、予算編成段階でここまでトーンダウンするということは、鳩山内閣の中で障害保健福祉施策の優先順位が極端に低いことの現れとして見ざるを得ない。
第二に、今回は自立支援医療が無料化の対象から外されようとしているわけだが、医療を必要とする障害の重い人ほど、今回の軽減策を受けることができないということになるのである。
そもそも、福祉サービスも自立支援医療も補そう具もすべて、障害のある人が地域で暮らすために不可欠な支援なのだから、これら3 つのすべてを負担軽減の対象とすることは当面講じるべき最低限の措置である。また、利用料の月額上限額についても3 つの合算額をもって設定する仕組みは、今回見送られることになりそうであるが、これは、先の旧与党による「自立支援法改正案」より後退するもので、由々しき事態である。
第三に、今回の措置では軽減策が届かない人が相当数、残ることになる。例えば、きょうされん東京支部が2009 年11 月に行った調査では住民税課税世帯は約24%もいるのだが、この人たちは今回の軽減策の対象外となってしまうのだ。また、収入認定の際に配偶者及び未成年者の親の収入が合算されてしまうという不備も残されたままなので、この人たちの負担も軽減されない。今回の措置を「自立支援法廃止に向けた第一歩」などとする向きもあるが、今日明日の生活がかかった上記のような問題を放置したままであり全く評価に値しない。
折しも、障がい者制度改革本部が設置され、新たな法制度についての本格的な検討が始まろうとしている今だからこそ、その出発点である2010 年度当初予算の検討は鳩山内閣の意気込みを示す絶好の機会でもあるはずだ。また、障害者自立支援法訴訟の70 名の原告も300 億円の予算確保を心から願い、その動向について固唾を呑んで見守っていた。こうした中で、負担軽減に必要な300 億円を110 億円にまで減額することは、これまで政府と訴訟団などが重ねてきた検討の到達を突き崩すことになる。鳩山内閣は、原告を始め全国の障害のある人と関係者に与えた希望を落胆に転化させてはならない。
私たちは、今般の大臣折衝の結果について強く抗議すると共に、閣議決定に至っていない現時点にあって「300 億円復活」に一縷の望みを持つものであり、わけても民主党を中心とする政権政党の格段の奮起を求めたい。同時に、マスコミを中心とする広く国民の理解と支援を要請する。

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